東南アジア諸国連合東南アジア諸国連合ASEAN



ASEAN諸国においては、各国の高等教育の制度的・文化的背景を踏まえて、それぞれの国で多様な高等教育質保証システムが構築されています。
一方で、ASEAN地域おける共通の枠組であるASEAN資格参照枠組(AQRF)やASEAN質保証枠組(AQAF)の開発など、同地域における共通の枠組の構築や連携・協力活動が活発化しています。
本ページでは、ASEAN地域の高等教育における質保証、学生交流、単位互換等の取組を紹介します。




ASEAN地域の高等教育における質保証、学生交流、単位互換等の取組

関係組織

主な取組

【質保証の主な取組】

【学生交流の主な取組】

【単位互換の主な取組】

その他



関係組織

東南アジア諸国連合(ASEAN)
Association of South East Asian Nations

1967年の「バンコク宣言」によって設立された東南アジア10か国による地域共同体。原加盟国はインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポールの5か国。以後、ブルネイ(加盟年:1984年)、ベトナム(1995年)、ラオス・ミャンマー(1997年)、カンボジア(1999年)と加盟国が順次増加し、10か国の構成となった。

【リンク】
ASEAN

東南アジア教育大臣機構・高等教育開発センター(SEAMEO-RIHED)
Southeast Asian Ministers of Education Organisation - Regional Institute of Higher Education and Development

東南アジア教育大臣機構(SEAMEO、1965年設立)の傘下にあるリージョナルセンターのひとつで、1993年に設立。東南アジア地域レベルの高等教育分野の研究・開発事業を専門とし、高等教育機関のマネジメント・ガバナンスの改善向上に向けた支援、国境を越えた調和の仕組みの開発、グローバル人材の育成等を行っている。主な取組として、国際的な学生交流事業であるAIMSプログラム、学術単位互換枠組(ACTFA)の創設に向けた活動等が挙げられる。タイ・バンコクに本部を置く。

【リンク】
SEAMEO-RIHED

ASEAN質保証ネットワーク(AQAN)
ASEAN Quality Assurance Network

2008年にASEAN地域の国際協定により発足した、ASEAN各国の高等教育質保証機関等による地域ネットワーク。正会員であるASEAN各国の質保証機関(一部の国では教育省の高等教育担当部門)のほか、AUNやSEAMEO-RIHEDも参画している。東南アジアの高等教育の質の更なる向上を目指し、高等教育質保証に関する優良事例の普及や経験の共有、高等教育に関する情報提供、域内における学位等の教育資格の相互承認の促進、地域レベルの質保証枠組の構築に向けた活動等を行っている。マレーシア・クアラルンプールに事務局を置く。

【リンク】
AQAN

ASEAN大学連合(AUN)
ASEAN University Network

1995年に設立された、ASEAN10か国の有力大学で構成される大学連合で30大学が加盟。ASEANの大学間の連携協力体制の強化等を目指して、質保証に関する取組(AUN-QAアセスメント)、研修事業、学生移動におけるASEAN単位互換制度(AUN-ACTS)の開発・活用等を重点的に展開している。タイ・バンコクに事務局を置く。

【リンク】
AUN

EU-ASEAN間の高等教育分野の連携プログラム(SHAREプログラム)
European Union Support to Higher Education in ASEAN Region

EU・ASEANの地域間協力の強化とASEAN地域における高等教育制度の調和を目指し、2015年に始動したEUが助成するプロジェクト。ASEAN地域の高等教育機関及び学生の質、競争力、国際化の向上を主な目的とする。また、ASEAN地域内及びASEAN・EU間での学生の移動を支援する取組(奨学金事業)やASEAN・EU単位互換制度(AECTS)の開発を行っている。SHAREの実施期間は当初4年間(2015~2019年)であったが、その後2022年までの期間延長の措置がとられている。

【リンク】
SHARE

ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループ
Working Group on Student Mobility and Quality Assurance of Higher Education among ASEAN Plus Three Countries (APTWG)

ASEAN+3域内の質保証の伴った高等教育の流動性を促進するため、ASEAN+3教育大臣会合傘下に設置された政府間ワーキング・グループ。第1回ASEAN+3教育大臣会合において日本の提案に基づき設立された。第1回のワーキング・グループが2013年に開催され、以後定期的に会合を開いている。ASEAN+3諸国の高等教育の質保証や流動性に関する情報の共有、共同プロジェクトの提案・実施、政策立案者と高等教育関係者間のネットワークの拡大と相互関係の強化、質保証に関するキャパシティ・ビルディングの促進等を行っている。

【リンク】
ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループ(文部科学省ウェブサイト)

主な取組


ASEAN資格参照枠組(AQRF)
ASEAN Qualifications Reference Framework

ASEAN加盟各国の職業訓練教育を含む教育資格の比較を可能にするASEAN共通の枠組で、資格の承認支援、教育や学習者、労働者のモビリティの促進、資格制度への理解の促進等を目的とする。

AQRFは、学習成果を8段階(レベル1~レベル8)に分類し、各段階で求められる「知識・技能」(Knowledge and Skills)及びそれらが適用される場面を示した「応用・責任」(Application and Responsibility)が説明されている。例えばレベル6は次のように示されている。

  • 知識・技能:特定の分野において技術的及び理論的に専門化されている。批判的・分析的思考を有する。
  • 応用と責任の場面:複雑かつ変化する状況。活動を改善したり複雑で抽象的な課題を解決するための戦略性や、適応能力及び自発性が求められる状況。

また、ASEAN加盟各国の資格枠組(NQF)とAQRFの関係性を構築することを目的として、2017年にASEAN各国の教育大臣、経済大臣、労働大臣の承認により、AQRF委員会が立ち上げられた。各国は自国のNQFとAQRFを比較し、各レベルの対応関係を明らかにする作業を行い、その結果を報告書にまとめる。AQRF委員会は各国から提出された報告書について調査を行う。報告書が承認されると、当該国のNQFとAQRFの間には比較可能性(comparability)があると結論付けられる。この一連の手続きは「参照」(Referencing)プロセスと呼ばれている。

【リンク】
AQRF
AQRFに関する進捗状況について(高等教育質保証の海外動向発信サイト:QA UPDATES)

ASEAN質保証枠組(AQAF)
ASEAN Quality Assurance Framework

ASEAN地域における教育の質を向上させ、地域内外で学生・労働者・専門家の流動性を高めることを目的として、2013年にAQANによって開発された枠組。4つの領域(①外部質保証機関、②外部質保証、③内部質保証、④国の資格枠組)ごとに10の原則が示されている。(2017年6月現在、「EU SHAREプロジェクト」の下で、AQAFに対するパイロットレビューを行っており、その結果に基づいて改訂される予定である)。

【リンク】
SHARE

AUN-QAアセスメント
AUN-QA Assessment

AUNによりAUN-QAネットワークの加盟大学および準加盟大学に対する質保証の一環として実施されるアセスメントで、ASEAN地域の高等教育水準の向上に資する質保証メカニズムの構築を目的としている。2007年にプログラムアセスメント、2017年に機関別アセスメントがそれぞれ始まった。

【リンク】
AUN-QA

学生交流の主な取組

AIMSプログラム
ASEAN International Mobility for Students Programme

東南アジア諸国を中心とした政府主導の国際的な学生交流事業。元々は、2010年にマレーシア・インドネシア・タイの3か国により、「MIT学生交流プログラム」(正式名称:M-I-T Student Mobility Programme)として発足。2012年にベトナムが加わってAIMSプログラムに改称された。以降、参加国にフィリピン、ブルネイ、シンガポールが加わり、ASEAN地域外からも2013年に日本、2016年に韓国が加わった。2020年5月現在、9か国・78大学が参加している。交流は、学部学生を対象とし、10分野(ホスピタリティ・ツーリズム、農業、言語・文化、国際ビジネス、食品科学、工学、経済学、環境科学、生物多様性、海洋学)において、高等教育機関間で学生交流が行われる。また、参加国政府・大学関係者によるレビューミーティングが定期開催され、プログラムの現状把握や課題を検討する場が設けられている。プログラムの事務局をSEAMEO-RIHEDが務める。

【リンク】
AIMS Website

ASEAN+3 学生交流と流動性に関するガイドライン
ASEAN Plus Three Guidelines on Student Exchanges and Mobility

ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループが作成し、2016年5月26日に開催された第3回ASEAN+3教育大臣会合にて承認されたガイドライン。質保証を伴う学生交流のための基本的枠組みを提供し、ASEAN+3 各国の高等教育制度の発展促進に資することを目的とし、ASEAN+3域内の国際学生交流プログラムに盛り込まれるべき要素や、学生に対して情報として伝達すべき事項等が定められ、プログラム構築や実施において参考とすべき指針が提示されている。

ASEAN+3 留学生の学修履歴のための成績証明書および補足資料に関するガイドライン
ASEAN Plus Three Guidelines on Transcripts and Supplemental Documents for Academic Records of Exchange Students

ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループが作成し、2018年11月1日に開催された第4回教育大臣会合にて承認されたガイドライン。ASEAN+3 加盟国内で「バランスが取れ質保証を伴った学生交流促進のために設計されたプログラム」の下で学習する交換留学生の「成績証明書及び(または)補足資料」において提供されるべき情報を提言することを目的とし、ASEAN+3域内の大学に(学位取得を目的としない短期の)留学した学生が派遣中に取得した単位が、派遣元の大学において円滑に認定されるために参考とすべき指針が提示されている。

アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-net)
JICA Technical Cooperation Project for ASEAN University Network/Southeast Asia Engineering Education Development Network

日本とASEAN各国大学のネットワークを通じ、各国工学系高等教育機関の強化と工学系の人材育成を行うプロジェクト。2001年にAUNのサブネットワークとしてAUN/SEED-netが発足し、2003年からJICAの技術協力プロジェクトとして本格始動した。日・ASEAN域内の留学を通じた各国大学の教員の資格向上、ASEAN域内大学の大学院プログラム(教育・研究能力)の改善、大学間ネットワーク強化を主な活動とする。現在、ASEAN各国から25校が参加し、日本側は14校が国内支援大学として参画している。(※参加校数の掲載ウェブページには2021年3月最終アクセス)

【リンク】
AUN/SEED-net
JICA

単位互換の主な取組

ASEAN単位互換制度(ACTS)
ASEAN Credit Transfer System

AUNの加盟大学間の学生・学術交流を促進することを目的にAUNによって開発された単位互換制度。2008年に開発が始まり、2011年に制度の運用が始まった。

ACTSは学生の交換留学プログラムの参加申請及びコース選択に始まり、留学先で修得した単位が学生の派遣元の大学で自動的に認定され、成績も統一のスケールに基づき判定される。1セメスター分の学習量は30ACTS単位、1トリメスター分の学習量は20ACTS単位、1年分の学習量は60ACTS単位とされる。

【リンク】
ACTS①
ACTS②

[単位互換に関するその他の動き]
SEAMEO-RIHEDは2012年にアジア開発銀行の支援を受け、ASEAN地域の大学が利用できるような共通の単位互換制度の創設を目指して、学術単位互換制度(ACTFA: the Academic Credit Transfer Framework for Asia)の開発に取り組んでいる。また、メコン地域(カンボジア、中国、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム)の大学を対象に、同地域における共通の単位互換制度である大メコン圏単位互換制度(GMS: Common Credit Transfer System for Greater Mekong Sub-region)の開発にも取り組んでいる。

SHAREプログラムにおいては、ASEAN地域とEUに跨る単位互換制度として、AECTS(ASEAN-EU Credit Transfer System)の開発に取り組んでおり、両地域の高等教育機関が提供する学習プログラムの比較可能性及び互換性を高め、学生のモビリティを推進することを目指している。また、AECTSは、欧州単位互換制度(ECTS)と互換関係を有する制度になることが計画されている。

その他

チューニング・東南アジアプロジェクト
Tuning Asia-South East

EUの助成事業であるエラスムス・プラス(Erasmus+)の高等教育におけるキャパシティ・ビルディングの一環として、欧州諸国及びASEAN諸国の大学が参画して2016年から2019年にかけて行われたプロジェクト。比較可能で互換性のある資格の枠組みの構築を目指して欧州等で用いられているチューニングの手法を通じて、東南アジアの大学におけるカリキュラム改革等に取り組むものである。具体的には次のことが実施された。

  • 教員養成、医学、土木工学の3つの分野を対象にチューニング手法を用いた。
  • 主に第1サイクル(学士)のプログラムに対し、プログラムの見直し、実施、モニタリング、改善を行った。
  • 上記3つの分野ごとに、学位プログラムの設計・実施のための参照基準(Reference Points)をとりまとめた。

【リンク】
Tuning Asia-South East


〒187-8587 東京都小平市学園西町1-29-1

電話 : 042-307-1500(代)

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