大学質保証フォーラム
大学改革支援・学位授与機構では、大学等の評価に携わる人材の育成と日本の高等教育における評価文化の定着のため、平成19年度から毎年、「大学評価フォーラム」を開催してきました。 平成26年度から、大学における教育研究活動の質の保証の取組みをより一層推進する目的で「大学質保証フォーラム」と改称して開催しています。 過去のフォーラムはこちらをご覧ください。
令和4年度大学質保証フォーラム
「大学内外の学びの接続を考える―多様な学習が生きる社会へ―」
(令和4年9月28日開催)
令和4年度大学質保証フォーラム
「大学内外の学びの接続を考える―多様な学習が生きる社会へ―」
日時:令和4年9月28日(水) 13:30~16:00
実施方法:Zoomウェビナーを利用したオンライン開催
主催:独立行政法人大学改革支援・学位授与機構
後援:公益財団法人 大学基準協会、公益財団法人 日本高等教育評価機構、
一般財団法人 大学・短期大学基準協会、一般財団法人大学教育質保証・評価センター、
認証評価機関連絡協議会、Asia-Pacific Quality Network (APQN)
開催趣旨
高等教育は、修業年限、そしてキャンパスや教室という時空的制約を前提としてその質保証を問題としてきました。しかし、少子高齢化やポストコロナ・ニューノーマル社会の出現によって、その制約の自明性は失われつつあります。日本を含む各国では、すでに生涯学習における高等教育の役割が拡大を始めており、また就業経験、入学前学習、細分化された学習履歴(マイクロクレデンシャル)など、大学外での学習経験や、大学内であっても授業以外の様々な活動を認定するための取組が試みられています。これらの取組は、高等教育の社会における意義の再考を促すのみならず、その質保証に関する新たな視座を求めるものです。
そこで令和4年度の大学質保証フォーラムでは、国内外の有識者を招き、大学内外における学びの接続と継続のあり方について理解を深め、今後の日本の高等教育とその質保証の姿を議論する機会としたいと考えております。
プログラム・講演資料
参加登録
本イベントは終了いたしました。
数多くの方々にご参加いただき、誠にありがとうございました。
開会挨拶
講演① Terry Neal 氏 講演② 朴 仁鍾 氏
講演③ Mohamad Afzhan Khan 氏 講演④ 岩永 雅也 氏
パネルディスカッションの様子 閉会挨拶
当日動画
※動画の掲載は令和5年3月29日(水)をもちまして終了いたしました。
令和4年度大学質保証フォーラム
「大学内外の学びを接続する―多様な学習が生きる社会へ―」
今年度のフォーラムは「大学内外の学びの接続を考える―多様な学習が生きる社会へ―」をテーマに、就業経験、入学前学習、細分化された学習履歴(マイクロクレデンシャル)、授業外の活動などの大学内外での様々な学習経験を認定するための取組を取り上げながら、生涯教育における高等教育の役割とその質保証について、現状と今後の展望を議論しました。
当日の進行を野田文香研究開発部准教授が務め、プログラム前半では、福田秀樹機構長の開会挨拶に続き、国内外の有職者として、ニュージーランド資格機構(NZQA)で政策・国際チーフ・アドバイザーを務めるTerry Neal氏、韓国高麗大学校教育大学院兼任教授で、前国家平生教育振興院学点銀行本部長の朴仁鍾氏、前オープン・ユニバーシティ・マレーシア(OUM)入学前経験学習認定センターディレクターのMohamad Afzhan Khan氏、放送大学長の岩永雅也氏の4名による講演が行われました。
Neal氏からは、「フレキシブルラーニング:アオテアロア(ニュージーランド)におけるマイクロクレデンシャル」と題して、ニュージーランド資格機構(NZQA)やニュージーランド資格枠組み(NZQCF)の紹介とともに、同国において産業界のニーズと労働者のスキルのミスマッチ解消等を目的に4年前にマイクロクレデンシャルが導入され、主に職業・教育訓練機関で活用されてきたことが説明されました。また、これまでに得られた効果や教訓を踏まえ、今後の同国内での更なる活用促進に向けて、産業界と学習者のニーズや社会の変化にバランスよく対応することや、正規学習との同等性を保つための質保証の重要性が強調されました。
朴氏からは、「大学内外の学びの接続を考える-韓国単位銀行制と独学学位制の事例-」と題して、大学内外の学習経験や資格を単位として認定し累積単位が一定基準を満たすと大学卒業と同等の学位取得が可能となる単位銀行制、多様な教育資源により学習し課程別試験を通じて大学の学位取得ができる独学学位制の2つの制度について、それらの成り立ち、制度の詳細、質管理の方法について事例を交えた説明がなされました。そして、多様な生涯学習経験を公式に認定する両制度の拡大と、教育的・社会的に差別なく受け入れられるための厳格な質保証の両方をバランスよく推進していくことが重要であると述べました。
Afzhan氏は、「マレーシアにおける入学前経験学習認定(APEL)の運用について」と題して、様々な就業経験を学習(仕事上の学び)として認定し、試験等を実施の上、単位や資格を付与しているAPELの制度や具体的な取組、マレーシアにおける主に職業スキルアップを目的としたマイクロクレデンシャルの特徴を紹介し、様々な学習の承認について大学の視点から問題提起しました。学習の継続にあたり様々な阻害要因があるなか、教育の民主化を図るためにはフレキシブルラーニングや公開・遠隔学習の拡大のみならず、学習へのアクセスを公正に保つことが重要であり、フォーマル、インフォーマル、ノンフォーマルの学習を価値づける役割をもつAPEL制度の発展も今後一層必要であると述べました。
岩永氏は、「多様な学習が生きる社会へ―放送大学の教育システムとその質保証―」と題し、放送大学の教育体制や授業の種類、在学生の特性やニーズの推移、コロナ禍での授業形態の変化、インターネット試験の導入に伴う単位認定における課題への対応について説明しました。また、生涯学習として従来の教養教育に加えてリカレント教育の需要が増す中、マイクロクレデンシャルの提供も視野に入れて実践している新たな取組が紹介されました。その上で、特に労働市場における他大学等での取得資格との同等性に関する課題や、日本の社会や同大学が抱えるリカレント型生涯学習の展開に向けての課題を述べ、同大学における社会のニーズや人材需要に即応した教育改革の必要性が強調されました。
プログラム後半のパネルディスカッションでは、参加者から寄せられた質問への回答を交えながら、柔軟かつ非伝統的な方法で得た大学外での学習や学位等の教育資格に対する社会的な認識・受け止めはどのようであるか、そして、正規教育との同等性をどう判断し評価していくのか、それを行う上での課題はなにかといった論点について、各国の制度や運用状況に触れながら活発な意見交換が行われました。最後に光石衛理事の閉会挨拶により、盛況のうちに閉会しました。
3度目のオンライン開催となり、高等教育関係者を中心に国内外から395名の参加(視聴)がありました。
お問い合わせ
(独)大学改革支援・学位授与機構評価事業部国際課
042-307-7952
Mail: uqa-forum[a]niad.ac.jp ※[a]を@に変えてください。
過去に開催した大学質保証フォーラムについてはこちらをご覧ください)