大学質保証フォーラム
大学改革支援・学位授与機構では、大学等の評価に携わる人材の育成と日本の高等教育における評価文化の定着のため、平成19年度から毎年「大学評価フォーラム」を開催してきました。 平成26年度からは、大学における教育研究活動の質の保証の取組みをより一層推進する目的で「大学質保証フォーラム」と改称して開催しています。 過去のフォーラムについてはこちらをご覧ください。
令和5年度大学質保証フォーラム
「高等教育情報のデータ・サイエンス:データ基盤の構築とその活用に向けて」
(令和5年9月26日開催:終了しました)
令和5年度大学質保証フォーラム
「高等教育情報のデータ・サイエンス:データ基盤の構築とその活用に向けて」
日時:令和5年9月26日(火) 13:30~16:00
実施方法:ウェブ会議システムによるオンライン開催
主催:独立行政法人大学改革支援・学位授与機構
後援:公益財団法人大学基準協会、公益財団法人日本高等教育評価機構、
一般財団法人大学・短期大学基準協会、一般財団法人大学教育質保証・評価センター、
認証評価機関連絡協議会、Asia-Pacific Quality Network (APQN)
開催趣旨
高等教育機関はさまざまな情報を持っています。大学であれば、大学全体や学部学科の区分ごとに収集された学生の在籍、学習、卒業、就職の状況、研究活動、社会・経済・文化的な影響をもつ活動、それらを支える施設設備等、教職員などの人材資源とその流動、財務諸表等を含む財務に係る情報などです。高等教育にかかる情報を公表することは、日本における高等教育の質保証システムの重要な構成要素の一つです。
それらの情報は、それぞれの高等教育機関等によっておおやけにされていますが、さらに頑健なデータ基盤として統合されれば、高等教育機関、質保証機関、政策立案当局、そして社会によってよりよく活用することが期待できます。本フォーラムでは、データ基盤の構築とその活用の方法について、国内外の専門家を招いて先行する事例を紹介いただくとともに、今後の我が国における高等教育の情報公表について、その展開の方向性を探るために議論します。
開催にあたっては、高等教育機関の経営、IR (Institutional Research)、認証評価、国立大学法人評価にかかわる教職員、その他政府関係組織、評価機関、高等教育情報関連企業関係者、そして高等教育研究者など、本テーマに関心のある方々の参加を期待しています。
プログラム・講演資料
参加登録
本イベントは終了いたしました。数多くの方々にご参加いただき、誠にありがとうございました。
開会挨拶 基調講演Ⅰ Cody氏(上)、Ruiz氏(下)
基調講演Ⅱ Cook氏 パネルセッション発表1 中村氏
パネルセッション発表2 杉谷氏 パネルセッション発表3 蔵川教授
パネルディスカッションの様子 閉会挨拶
登壇者集合写真
当日動画
動画の掲載は令和6年3月27日(水)をもちまして終了いたしました。
開催報告
今年度のフォーラムは「高等教育情報のデータ・サイエンス:データ基盤の構築とその活用に向けて」をテーマに、日本における高等教育質保証システムの重要な構成要素の一つである高等教育の情報公表について、米国・英国におけるデータ基盤の構築と活用の先行事例を紹介するとともに、日本国内の政策や現状を踏まえ、今後の我が国における展開の方向性を探るために議論しました。
当日の進行を森利枝研究開発部教授が務め、プログラム前半では福田秀樹機構長の開会挨拶に続き、米国のAmerican Institutes for Research(AIR)にて主席研究員及び IPEDSプロジェクトディレクターを務めるChristopher A. Cody氏、同じくAIR上席研究員及びIPEDS副プロジェクトディレクターであるRoman Ruiz氏、英国のHESA (Jisc傘下)データ・イノベーション副ディレクターのDan Cook氏による基調講演が行われました。
Cody氏及びRuiz氏からは、IPEDS(The Integrated Postsecondary Education Data System:中等後教育総合データシステム)の沿革をはじめ、現在行っているデータ収集システムの調査対象(連邦学資援助プログラム対象の高等教育機関は報告必須)、収集したデータの質担保のためのキーホルダーやコーディネーターといった役割配置、収集データの確認手法、データ収集業務の3年ごとの見直し等、幅広く情報提供がありました。また、データ提供者・利用者との意思疎通のための週報の作成、無料オンラインコミュニティやSNSの活用、IPEDSが資金提供している研修センター、データフィードバックレポート等の主要なデータ製品、データユーザレベルに合わせた様々な情報提供ツール等も紹介されました。
Cook氏からは、英国ではイングランドやスコットランドといった各地域がそれぞれ高等教育政策を策定する中、HESAが英国全体の主要データ収集・調査機関として政府を含めた様々な機関から高い信頼・評価を得ており、高等教育データガバナンスに組み込まれていることの説明がありました。また、ネットワークや各種サービスを提供するJiscへの合併の経緯、HESAにおけるデータ収集・管理システムとその質確認のプロセス、ヘルプデスク設置等のデータ提供者へのバックアップシステム、ウェブツールやデータセット等を用いてのデータ提供についても言及がありました。サイバーセキュリティの重要性が高まる中で、調査活動を維持しながらも、情報収集とデータ管理の向上や、データ利用の複雑性の低減と効率の最適化を図ることが今後の課題であるとの意見が述べられました。
プログラム後半のパネルセッションでは、テーマを巡る国内パネリストからの日本の現状と課題として、文部科学省高等教育局視学官の中村真太郎氏からは高等教育機関の情報公表制度に関する法令改正の変遷や最近の関連政策、青山学院大学教育人間科学部教授の杉谷祐美子氏からは情報公表の趣旨や大学ポートレートの現状と論点、当機構の蔵川圭研究開発部教授・大学ポートレートセンター長からは大学改革支援情報基盤の諸相として当機構の各事業での収集データとその課題認識等について、それぞれ発表がありました。
パネルディスカッションでは、データ活用の目的から基盤を構築するという発想に着目し、政策の立案、個別機関のIR(Institutional Research)、進学希望者等の個人という3つのレベルにおいてデータはどのように活用されているのか、学生や教員の個人データの収集をどのように可能にしているのか、米国・英国の状況について事例を交えて説明がありました。また、過度なランキング化への懸念といった話題にも及び、参加者から寄せられた質問への回答を交えながら活発な意見交換が行われました。最後に光石衛理事の閉会挨拶により、盛況のうちに閉会しました。
昨年度までと同じくオンラインで開催しましたが、国内外からの登壇者全員は学術総合センターに参集し配信を行いました。高等教育関係者を中心に国内外から約440名の参加(視聴)がありました。
お問い合わせ
(独)大学改革支援・学位授与機構評価事業部国際課
042-307-7952
Mail: uqa-forum[a]niad.ac.jp ※[a]を@に変えてください。
過去に開催した大学質保証フォーラムについてはこちらをご覧ください。