試行的評価に関する検証について
●試行的評価に関する検証結果報告書について(平成16年11月)
試行的評価に関する検証委員会において,「大学評価・学位授与機構が平成12年度から平成15年
度までに実施した試行的評価に関する検証について?試行的評価に関する検証結果報告書?」が取りま
とめられました。
※報告書の内容については,こちらを参照してください。
※報告書の概要は以下のとおりです。
独立行政法人大学評価・学位授与機構(以下「機構」という。)は,平成12年度から平成
15年度まで試行期間として実施した大学評価(以下「試行的評価」という。)について,そ
の評価方法の適切性や評価結果がどのように大学等の教育研究活動の改善に役立っているか
検証するため,外部有識者等からなる「試行的評価に関する検証委員会」を設置し,検証項目
等の検討を行い,評価対象機関(以下「大学等」という。)及び機構の評価担当者へのアンケ
ートやインタビュー等の調査・分析を踏まえ,その結果を報告書として取りまとめた。
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1 評価の実施体制及び方法について
(1) 実施体制
○ 機構の実施体制としては,有識者等からなる大学評価委員会の下に,専門委員会を設
置し,さらにその下に評価チームや部会を設置するという,階層的な組織構成により評
価を実施するとともに,一定程度の割合の人がこれら複数の階層の組織を兼務すること
によって組織間の連携が図られていたことについて大きな問題点の指摘はなかった。
○ 機構の評価担当者の選定・構成については,大学等からはある程度肯定的な回答を得
た。ただし,各大学等の教育・研究内容や運営面の特性について一定程度の知識を有す
る評価担当者を選定するよう,配慮を求める意見もあった。
○ 機構では,評価担当者に対して評価方法の研修を行っており,その内容も年を追うご
とに充実させてきた。そのため,評価担当者からは肯定的な意見が多かった。一方,さ
らなる研修の充実を望む意見や,評価に関する専門知識を有する人材の育成支援を求め
る声もある。
(2) 評価の方法
○ 全学テーマ別評価,分野別教育評価及び分野別研究評価の3つの区分ごとに評価を
行ったことについては,大学等の改善のためには適切であったという結果を得た。ま
た,最終年度に実施した「総合科学」分野では,教育評価と研究評価を同一機関に同
時に実施したが,大学等の組織の全体像を把握できるという効果が認められた。
○ 大学等の目的及び目標に即して評価を行ったことについては,当初は,目的及び目標
を意図的に低く設定すれば,良い評価結果が得られるなどの指摘も寄せられたが,大学
等の個性の進展と改善のためにはおおむね適切な方法であるという結果を得た。
○ 「評価項目,要素,観点等」という階層構造(機構が設定あるいは例示)で評価を行
ったことについては,おおむね肯定的な結果を得たが,一方で,大学等の画一化につな
がる,各大学等の特性への配慮が必要ではないかなどの意見も見受けられた。
○ 大学等の自己評価に基づいて評価を行ったことについては,大学側において根拠資料
の収集作業量が大きかったこと,自己評価書の記述が不十分であったことから機構側の
分析作業の負担が大きかったことの意見が多くあった。この要因としては,大学等が,
機構が定めた自己評価の方法に不慣れであったこと,自己評価の方法が難解であったこ
とが指摘された。
○ 大学等との面談によるヒアリング及び訪問調査については,非常に有効に機能したが,
一方で,資料の追加提出のための作業量の増大やスケジュールが過密であるとの指摘が
あった。
○ 評価結果の表し方については,評価項目ごとに大学等の目的及び目標に即して達成度
(貢献度)の水準を段階的に記述したことについて,ある程度肯定的な結果が得られた
ものの,評価結果が大学等のランキングもしくは相対比較されて報道されたことに対し,
評価結果の公表の工夫を求める意見が多く見受けられた。また,達成度だけでなく,大
学等の取組において特に優れた点や改善を要する点等を指摘したことについては,大学
等の教育研究活動の改善を誘因することに有効であったとの結果を得た。
2 評価の成果について
○ 評価の一環として実施した自己評価という作業によって,自大学等/部局の課題を把
握することが可能となり,大学等の改善に向けて有効に機能したことがうかがえる。
○ 評価結果を参考にして,教育研究活動の改善に取り組んでいる事例が多数見受けられ,
試行的評価が一定程度の貢献を果たしていることが認められる。また,既に自己点検・
評価や日常の活動の中で認識されていた課題を,機構の評価報告書においても指摘され
たことにより,課題への取組が一挙に進んだ事例や,マネジメント上の意識改革の効果
も認められる。
○ 評価結果の公表により,大学等の教育研究活動の状況について,高校生及びその保護
者,産業界,国及び地方自治体や公的機関等の理解がどの程度進んだかについては,肯
定的な意見は少数であり,大学等の活動に関する社会全般からの理解は必ずしも十分で
はなく,評価報告書の内容や評価報告書以外の大学情報の公表の方法について検討する
必要がある。
3 今後の対応
機構では,試行的評価の検証において指摘された課題等を早急に検討し,今後実施を予
定している,新たな評価事業である機関別認証評価や国立大学法人及び大学共同利用機関
法人の教育研究面の評価等に関して,より適切かつ効果的な実施に役立てていきたい。
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