私はこれまで木の実をモチーフにした作品をいくつか制作してきました。木の実を見つけた時に感じる生き生きとした生命感、優しく温かい存在感、形の愛らしさを作品を通して表現したいと考えているからです。そして作品を見る人、使う人の心の中に、優しく温かい気持ちを伝えたいと想っています。今回の作品では木の実が持つ生命力をより豊かに表現するために木目金という技術を用いて制作しました。木目金が持つにぎやかで美しい色合い、流れ動いているような模様といった特徴がより豊かな木の実の表現につながるのではないかと考えたからです。また変形絞りや打ち出しの技術を用いることによって、豊かで生き生きとした形体を追及することとしました。この作品は大切なジュエリーや小さなものを心のポケットにしまう様に、そっとしまっておくためのとても小さな小箱です。このような小箱は、使う人に優しく温かな気持ちを思い起こさせる存在になりえると考えています。