欧州連合European Union
欧州連合European Union
ボローニャ・プロセスに関する主な合意文書・宣言
![]() |
1997年 | リスボン承認規約 |
---|---|---|
![]() |
1999年 | ボローニャ宣言 |
![]() |
2001年 | プラハ・コミュニケ |
![]() |
2003年 | ベルリン・コミュニケ |
![]() |
2005年 | ベルゲン・コミュニケ |
![]() |
2007年 | ロンドン・コミュニケ |
![]() |
2009年 | ルーヴァン・コミュニケ |
![]() |
2010年 | ブダペスト・ウィーン宣言 |
![]() |
2012年 | ブカレスト・コミュニケ |
![]() |
2015年 | エレバン・コミュニケ |
![]() |
2018年 | パリ・コミュニケ |
![]() |
2020年 | ローマ・コミュニケ |
主な質保証、学生交流の仕組み
ボローニャ・プロセスに関する主な合意文書・宣言
正式名称 |
Lisbon Recognition Convention |
---|---|
策定主体 |
欧州評議会/UNESCO |
策定(実施)年 |
1997年 |
概略 |
正式名称は「欧州地域における高等教育に関する資格の承認に関する規約」(Convention on the Recognition of Qualifications concerning Higher Education in the European Region)といい、1997年4月8日から11日にかけてリスボンで行われた代表者会議で採択された。 加盟国に対し、他国からの高等教育機関への進学や就職を容易にするために、他国の学位・資格について、実質的な相違がなければ自国の類似した学位・資格として承認すること、学生や雇用主、高等教育機関等に対して、外国の学位・資格の承認に関する情報提供を行う国内情報センター(NIC)を設立すること、高等教育機関に対して、ディプロマ・サプリメント(学位証書補足資料)の発行を促進させることなどが盛り込まれている。 |
リンク |
https://www.coe.int/en/web/conventions/full-list/-/conventions/treaty/165 |
正式名称 |
Bologna Declaration |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合 |
策定(実施)年 |
1999年 |
概略 |
1999年6月19日にイタリアのボローニャで、欧州29か国の高等教育担当大臣が調印した宣言。2010年までの欧州高等教育圏(European Higher Education Area: EHEA)の確立に向けて、主に以下の課題の達成に努力することで各国の大臣が署名した。なお、「ボローニャ・プロセス」とは、本宣言から始まった欧州における高等教育システムの改革に関する、一連の流れを指す。 <ボローニャ宣言の要旨>
本宣言で提唱されたプロセス達成に向けて、2001年から2年ごとに大臣会合を開催。改革内容の進捗プロセスの把握や活動方針の追加が行われ、会議ごとに共同声明(コミュニケ)が発表されている。2009年からは大臣会合と合わせて、ボローニャ参加国と日本を含むその他の国との高等教育における国際連携に関する議論とパートナーシップ構築の場となることを目指した、ボローニャ政策フォーラム(Bologna Policy Forum)が開催されている。 ※なお、ボローニャ・プロセスの関連文書(これまでに開催された会合の声明等)は、以下のリンク先(EHEAウェブサイト)で閲覧することができます。 |
リンク |
https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html |
正式名称 |
Towards the European Higher Education Area - Prague Communique |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(プラハ会合) |
策定(実施)年 |
2001年 |
概略 |
2001年、プラハに欧州の高等教育大臣が集まり、1999年のボローニャ宣言以降の進捗を確認し、次の会合までの2年間の方針や優先事項について協議を行い、採択された内容がプラハ・コミュニケとして発表された。本会合において、キプロス、クロアチア、トルコ、リヒテンシュタインの4か国が新たにボローニャ・プロセスに署名し、参加国は33に拡大した。 プラハ・コミュニケでは、ボローニャ・プロセスに以下の項目が新規に追加された。
質保証については、質保証ネットワーク間の相互協力と、教育の質の確保と学位・資格の通用性促進に質保証が果たす意義が謳われ、質保証に関する欧州共通の参照枠組みの構築と優良事例の共有にむけて、高等教育機関、各国質保証機関、ENQA(欧州高等教育質保証協会)等が協力していくことが提言された。 (※1)ESIBは、現在のEuropean Students Union: ESU(欧州学生ユニオン)の前身 |
リンク |
https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html |
正式名称 |
Realising the European Higher Education Area - Berlin Communique |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(ベルリン会合) |
策定(実施)年 |
2003年 |
概略 |
欧州の高等教育担当大臣レベルで合意した声明。ボローニャ宣言を再確認したうえで、2005年までに各国が導入にむけて努力することで、質保証システムの構築を含む事項が新たに提案され、ベルリン・コミュニケとして発表。旧ユーゴスラヴィア諸国を含む40か国が署名した。 <ベルリン・コミュニケの主な内容> ◇ 質保証
欧州レベルの質保証については、ENQA(欧州高等教育質保証協会)に対し、EUA(欧州大学協会)等との連携により、質保証に関する欧州基準、手続き、ガイドラインの開発及び適切なピア・レビューシステムとアクレディテーション機関の確保を進め、2005年の教育大臣会合で進捗の報告を要求した。 ◇ 学位構造
◇学生・教職員流動化(モビリティ)の推進 ◇単位制度の構築
◇学位の認定
|
リンク |
https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html |
ベルゲン・コミュニケ「欧州高等教育圏構築の目標達成に向けて」
正式名称 |
The European Higher Education Area - Achieving the Goals |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(ベルゲン会合) |
策定(実施)年 |
2005年 |
概略 |
2005年5月に、ノルウェーのベルゲンで開催された高等教育大臣会合で採択された宣言。本会合で、新たにアルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、モルドバ、ウクライナの5か国がボローニャ・プロセスに加盟し、参加国は45に拡大した。 ボローニャ・プロセスのパートナーとしての高等教育機関、教職員、学生の重要性を再確認するとともに、雇用者を含む全ての高等教育利害関係者からの支援がボローニャ・プロセスの目標達成に不可欠であることが強調されている。また、博士プログラムにおける研究活動の促進、質の高い高等教育への参加機会の拡充、ボローニャ・プロセスの国際化を視野に入れた欧州外の地域との交流等が重点事項として掲げられている。 質保証に関する内容は以下のとおり。
(※1)EUA(欧州大学協会)、EURASHE(欧州高等教育機関協会)、ESIB(欧州全国大学連盟)。この3機関は、Council of Europe(欧州評議会)とともに2001年のプラハ会合において、ボローニャ・フォローアップ・グループの諮問メンバーとして参加することが合意された。 |
リンク |
https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html |
ロンドン・コミュニケ「グローバル環境における欧州高等教育圏」
正式名称 |
Towards the European Higher Education Area: responding to challenges in a globalised world ? London Communique |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(ロンドン会合) |
策定(実施)年 |
2007年 |
概略 |
2007年5月にロンドンで開催された大臣会合で採択された宣言。本会合では、欧州高等教育圏(European Higher Education Area: EHEA)への参加国は46に拡大した。ボローニャ・プロセスが進み、欧州以外の地域への影響が進むなか、他地域との協力がボローニャの協議事項になりつつあることが謳われている。 <ボローニャ参加国と他地域との協力にかかる内容>
以上を確認したうえで、2009年までの取組みの優先事項として、流動性(学生・教員の流動性促進、流動性を測る方法の開発)、社会における高等教育の役割、データ収集、卒業生の就業力(employability)、グローバル環境における欧州高等教育圏、進捗の現状把握が設定された。また、2010年以降は、EHEAにかかる国際連携の強化を優先して行うことが合意された。 |
リンク |
https://pjp-eu.coe.int/bih-higher-education/bologna-process.html |
ルーヴァン・コミュニケ「ボローニャ・プロセス2020年:欧州高等教育圏の新たな10年」
正式名称 |
The Bologna Process 2020 - The European Higher Education Area in the new decade |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(ルーヴェン/ルーヴァン=ラ・ヌーヴ会合) |
策定(実施)年 |
2009年 |
概略 |
欧州の高等教育大臣レベルで、ボローニャ・プロセスの進捗を確認・評価し、2010年以降も主に以下の実現に向けて引き続き欧州・国・機関レベルで取り組むことで合意した声明。46か国が署名した。 <ルーヴァン・コミュニケの主な内容>
|
リンク |
_ |
正式名称 |
Budapest-Vienna Declaration on the European Higher Education Area |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合 |
策定(実施)年 |
2010年 |
概略 |
2010年3月11日から12日にかけて、ブダペストおよびウィーンで行われた大臣会合で合意した声明。ボローニャ宣言から10年が経過した記念すべき会合で、欧州高等教育圏(European Higher Education Area: EHEA)の構築が宣言された。 本会合では、ボローニャ・プロセスが確実に前進して成果をあげてきているとしつつ、高等教育機関の現場(教職員と学生)からの声を更に反映して改革を進めることが必要である旨、共通認識を持った。 また、ルーヴァン・コミュニケ(2009年)で合意した事項を進め、学生を中心に置いた学習環境を推進することで合意した。 今回新たにカザフスタンが加わり、EHEAへの参加国は47となった。(EHEAについては、1999年のボローニャ宣言で2010年の確立に向けて課題の達成に努力することで29か国の高等教育大臣が署名した) |
リンク |
https://www.edu.ro/sites/default/files/u39/Budapest-Vienna%202010.pdf |
ブカレスト・コミュニケ「欧州の可能性への期待と欧州高等教育圏の強化にむけて」
正式名称 |
Making the Most of Our Potential: Consolidating the European Higher Education Area ? Bucharest Communique |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(ブカレスト会合) |
策定(実施)年 |
2012年 |
概略 |
2012年4月26日から27日にかけて、ルーマニアのブカレストで開催された、ボローニャ・プロセスに関する第8回大臣会合で合意された宣言。すべての学生に質の高い教育を提供することが、ボローニャ・プロセスの最大の目標である旨、再確認され、欧州高等教育圏(EHEA)構築に向けたプロセスの最初の10年の進捗を評価しつつも、次の10年(~2020年)に向け、今後優先して取り組むべき課題(質の高い教育の提供、学生の就業力の向上、より質の高い学習のための流動性(モビリティ)の強化)を打ち出した。 また、本会合では、EHEAにおける流動性(モビリティ)に関する戦略(Mobility Strategy 2020 for the European Higher Education Area (EHEA): Mobility for Better Learning)も打ち出され、2020年までに、欧州の学生の20%のモビリティを達成するという目標が掲げられ、これに向けて取り組むべき内容が示された。 <ブカレスト・コミュニケの主な内容>
|
リンク |
http://www.ehea.info/Upload/document/ministerial_declarations/Bucharest_Communique_2012_610673.pdf
|
正式名称 |
Yerevan Communique |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(エレバン会合) |
策定(実施)年 |
2015年 |
概略 |
2015年5月14日から5月15日にかけて、アルメニアのエレバンにて開催された、EHEA(欧州高等教育圏)大臣会合において採択された宣言。47か国の代表者が欧州地域の高等教育統合に向けた取り組みにおける2020年までの方向性について協議し、またこれまでのボローニャプロセスを振り返り、具体的な取組み内容の見直しの必要性を明らかにした。 <エレバン・コミュニケの主な内容>
<4つの課題>
次回会合は、2018年にフランスのパリで行われる予定となっている。 *インクルーシブ:ユネスコの定義によれば、全ての学生が基礎的な学習ニーズを満たす平等な教育にアクセスすることができ、生活を豊かにすることができる状態のことである。 |
リンク |
https://uluslararasi.yok.gov.tr/Documents/Uluslararasilasma/erivan_bildirgesi_2015.pdf
|
正式名称 |
Paris Communiqué |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(パリ会合) |
策定(実施)年 |
2018年 |
概略 |
2018年5月24日~25日にかけて、フランス・パリにおいて開催された、European Higher Education Area (EHEA)(欧州高等教育圏)大臣会合において採択された宣言。48カ国の代表者が本宣言に署名した。各国代表者は、2020年までの欧州地域の高等教育統合に向けた取組*の進展を評価する一方、今後さらに欧州で取り組むべき事項について協議し、共同声明(コミュニケ)及び関連文書をとりまとめた。共同声明においては、欧州で失業、社会的格差の広がり、移民・難民の問題、テロ、右傾化の動き等の社会問題が広がるなか、問題解決に向けた高等教育の社会的役割について強調された。 <パリ・コミュニケの主な内容>
次回の欧州高等教育大臣会合は、2020年6月にイタリア・ローマで行われる予定となっている。 ** インクルーシブ:すべての学生が基礎的な学習ニーズを満たす平等な教育にアクセスすることができ、生活を豊かにすることができる状態。(UNESCOの定義より) パリ・コミュニケの内容の詳細については、こちら(機構国際連携ウェブページQA UPDATES 2018/6/19投稿記事)。 |
リンク |
正式名称 |
Rome Communiqué |
---|---|
策定主体 |
欧州高等教育大臣会合(ローマ会合) |
策定(実施)年 |
2020年 |
概略 |
2020年11月19日に開催された、European Higher Education Area (EHEA、欧州高等教育圏)大臣会合において採択された宣言。本会合はオンラインで開催され、49カ国の代表者が参加した。本宣言では、今後10年間の政策の指針として、コロナ禍においても全ての学生が質の高い高等教育を受けられるようにすること、高等教育機関が社会問題の解決に取り組めるように適切な支援を行うこと、そしてこれらの実現のためにEHEA内でより効果的に連携し、緊密に対話を行うこと等が示された。 <ローマ・コミュニケの主な内容> ●EHEAのビジョン:EHEAは学生、教職員及び卒業者がそれぞれ修学、教育及び研究を行うための自由な移動が保証された圏域となる。 →ビジョンの実現のために2030年までにインクルーシブ(inclusive)で革新的(innovative)かつ相互接続された(interconnected)EHEAとなるよう取り組んでいく。
このほかに前回(2018年)の会合で採択された今後注力する3つの取組(Key Commitments)について、これらの取組が着実に実施されており、引き続き取り組んでいくことが確認された。 ①資格枠組と欧州単位互換制度(ECTS) 次回の欧州高等教育大臣会合は、2024年にアルバニアで行われる予定となっている。 ローマ・コミュニケの内容の詳細については、こちら(機構国際連携ウェブページQA UPDATES 2021/1/8投稿記事)。 |
リンク |
主な質保証、学生交流の仕組み
正式名称 |
European Credit Transfer and Accumulation System: ECTS |
---|---|
策定主体 |
欧州委員会 |
策定(実施)年 |
1999年のボローニャ宣言において提案 |
概略 |
教育プログラムの達成のために求められる学習量に基づく単位システム。欧州内での留学時における学習の認定を保証するための共通の手続きとして、ボローニャ宣言に基づき欧州委員会のイニシアチブにより整備。学習量に応じた単位の蓄積と読み替えを通じて、欧州での国境を越えた学生流動を促進させるとともに、複数の機関による国際的な共同教育プログラムを推進する。 原則として、1年間(1学年歴)の学修をおおむね60ECTS単位(1,500から1,800時間程度)の学習量とし、1ECTS単位は、25~30時間のフルタイム学生の学習量(面接指導、課題読書、自習、試験のプレゼンテーション等を含む)に換算する。本単位互換制度では、各大学は課程における各講義概要に想定される学習成果を記述し、各学習成果ごとに学習量を示す単位数を表示する。 |
リンク |
正式名称 |
Diploma Supplement: DS |
---|---|
策定主体 |
欧州委員会 |
策定(実施)年 |
1999年のボローニャ宣言において提案 |
概略 |
学生が取得した学位・資格の内容について示した欧州地域における統一的な様式による説明書。高等教育機関における課程等の教育プログラムの修了者に対し、ディプロマ等の高等教育修了証明書に添付して発行する。様式は欧州委員会、欧州評議会及びUNESCOが共同策定したものであり、各国の高等教育機関はこの雛型に沿って作成・発行する。 欧州高等教育圏の構築を推進するボローニャ・プロセスのもと、欧州で国境を越えた教育の提供と学生の流動が活発化し、国外で取得した学位・資格の認定が課題となる中、共通様式のディプロマ・サプリメントは、資格に関する公的かつ透明性ある説明文書としての役割を持つ。 ディプロマ・サプリメントには主に以下の事項に関する情報が盛り込まれる。
ディプロマ・サプリメント様式 |
リンク |
正式名称 |
Tuning Educational Structures in Europe |
---|---|
策定主体 |
欧州委員会及び欧州の大学教員グループ |
策定(実施)年 |
2000年より(継続中) |
概略 |
学問分野ごとに欧州各国の教育カリキュラム構造や履修単位の換算、教授方法を調整(tuning)し、各国のカリキュラムを分かりやすくかつ比較可能とした参照ツールで、各機関において単位や学位の認定にかかる判断に資することを目的としたもの。欧州委員会の支援を受け、欧州の複数の大学の教員グループの自主的な取組みとして2000年に開始。これまでに化学、物理学、ビジネス・経済学、教育学、数学、地質学、歴史学、ヨーロッパ学、看護学の9領域において、カリキュラムごとの学位プログラムの教育や学習目標、学習量、成績評価、質の向上、質保証について整理。 チューニングは以下のプロセスに沿って行われる。
なお、チューニングは、各機関の多様性と自律の尊重を基本原則としており、各機関に適用を求めたり、各機関の教育専門家の学問的独立性を制限するものではない。 <チューニングにおける学習プログラムの科目群の例(欧州のビジネスと経済学> |
リンク |
_ |
正式名称 |
Standards and Guidelines for Quality Assurance in the European Higher Education Area (ESG) |
---|---|
策定主体 |
ENQA(欧州高等教育質保証協会)、ESU(欧州学生ユニオン)、EUA(欧州大学協会)、EURASHE(欧州高等教育機関協会)、EI(エデュケーション・インターナショナル)、BUSINESSEUROPE(ビジネスユーロップ)、EQAR(欧州質保証機関登録簿) |
策定(実施)年 |
2005年(最新版:2015年) |
概略 |
欧州地域における高等教育の質保証に関するガイドライン。2003年の欧州高等教育大臣会合(ベルリン会合)において、質の向上に関する基準作りが要請されたことを受け、ENQA(欧州高等教育質保証協会)がEUA(欧州大学協会)、EURASHE(欧州高等教育機関協会)及びESIB(欧州全国学生連盟)と協力し策定。高等教育機関及び質保証機関双方にとって共通の参照点となる内部質保証、外部質保証(第三者評価)ならびに外部質保証機関に関する欧州基準が示されている。但し、欧州全体に適用される唯一の質保証基準を設けてそれに基づいて一律に評価を行うという趣旨ではなく、国・地域間の違いをある程度認めたうえで共通の質保証基準を設けるもので、各質保証機関の多様性を尊重し、策定されている。2005年以降に第1版が策定されて以降、ボローニャプロセス全体での大きな進展、学生中心の学習・指導へのパラダイムシフトといった背景の変化を踏まえ、ESGの明確性、適用可能性、有用性の改善を図るため、2015年5月に改正ESGが策定された。 <改正ESGの章立て> ○ 第2部: 外部質保証に関する基準とガイドライン ○ 第3部: 質保証機関に関する基準とガイドライン |
リンク |
|
翻訳資料 |
(翻訳:大学評価・学位授与機構、2016年1月) |
正式名称 |
European Qualifications Framework: EQF |
---|---|
策定主体 |
欧州委員会 |
策定(実施)年 |
2008年 |
概略 |
欧州で用いられている資格・学位を欧州共通の視点で理解するための仕組み。これにより、労働者や学習者の国際的な流動性が高まり、生涯学習が促進されると見込まれている。 EQFは、各資格・学位を8段階(レベル1~レベル8)に分類し、当該資格取得に必要とされる知識(knowledge)、技能(skills)、能力(competence)に関する学習成果を示す。 学士レベル(高等教育第1期)に相当するレベル6は次のように示されている。
<欧州資格枠組み(EQF)の8水準> |
リンク |
https://europa.eu/europass/en/european-qualifications-framework-eqf |
正式名称 |
Framework of Qualifications for the European Higher Education Area: QF-EHEA |
---|---|
策定主体 |
2005年の欧州高等教育大臣会合(ベルゲン会合)で採択 |
策定(実施)年 |
2005年 |
概略 |
欧州高等教育圏に属する国が、それぞれの国家資格枠組み(national qualifications framework)を制定するための指標となる資格枠組み。欧州各国の高等教育が、多様性と共通性のバランスを保つために定められている。 欧州高等教育圏資格枠組みの特徴は以下の通りである。
欧州高等教育圏資格枠組みは下記の3サイクル制によって構成される。
また、この枠組みはoverarching frameworkという呼び方をされることもある。 |
リンク |
正式名称 |
European Community Action Scheme for the Mobility of University Students: ERASMUS |
---|---|
策定主体 |
欧州委員会 |
策定(実施)年 |
1987年 |
概略 |
EUの学生が他国の高等教育機関へ留学や企業への研修ができるよう支援するプログラム。1987年6月17日の開始当初は11か国3,244人の学生の参加であったが、開始25年間で270万人を超える学生と33か国の4,000を超える高等教育機関が参加するまでに成長した。現在では、欧州の参加国の学生の4%が参加するプログラムとなっている。また、高等教育機関の教員や職員も対象としており、1997年以来25万人が参加している。 エラスムス計画は、2007-2013年期においては、欧州委員会の生涯学習プログラムの活動の一つに位置付けられている。また、ボローニャ・プロセスの開始や欧州単位互換制度(ECTS)の創設に重要な役割を果たしており、当プログラムの成功がエラスムス・ムンドゥス(※1)の開始につながった。 2014年からはエラスムス・プラス(※2)という新しいプログラムを開始する予定。 |
リンク |
https://erasmus-plus.ec.europa.eu/ |
正式名称 |
Erasmus Mundus |
---|---|
策定主体 |
欧州委員会 |
策定(実施)年 |
2004-2008年(第1期)、2009-2013年(第2期) |
概略 |
欧州とそれ以外の国・地域間の高等教育機関における奨学金プログラム及び学術交流の実施を通じて、欧州の大学連携を強め、高等教育の質を高めることを目的とした計画。学生・研究者のグローバルな流動化(モビリティ)を促進させ、異文化間交流と対話の場を提供するプロジェクトを支援。EU内の高等教育機関の協力と人材交流プログラムであるエラスムス計画の成功を受けて始まった。 2004年から2008年の第1期は、以下4つのアクションへの支援を行った。
2009年から始まった第2期は、以下3つのアクションを支援している。
|
リンク |
https://erasmus-plus.ec.europa.eu/ |
正式名称 |
Erasmus+ 2021-2027 |
---|---|
策定主体 |
欧州委員会 |
策定(実施)年 |
2021-2027年 |
概略 |
教育、職業訓練、青年の育成、スポーツに関する国境を越えた移動と協働を支援するEUの助成金プログラムであるエラスムス・プラスの後続プログラム。2021年3月25日の欧州委員会の発表によると、新プログラムの予算総額は262億ユーロで、2014~2020年のエラスムス・プラスプログラム予算である147億ユーロを大幅に上回る。 増額された予算を通じて、「よりインクルーシブ(包摂的)に」、「よりデジタルに」、「よりグリーンに」という3つのコンセプトを実現することが狙いである。また、あらゆる年齢層、バックグラウンドを持つ1,000万人のヨーロッパ人の学びに関する人の移動と国境を越えた協力を支援する※。 3つのコンセプトのうち、「よりデジタルに」については、新型コロナウイルスの感染拡大により教育・訓練システムのデジタル化への移行がますます加速する中、教育におけるデジタル技術の発展を支援し、奨学金制度による質の高いデジタル技術習得のための教育訓練と人々の交流の機会を提供するほか、学生の留学先での学業等における諸手続きの一層のデジタル化と簡素化等を促進することが目指されている。
※ エラスムス・プラス2021-2027は欧州の学生の学びの経験の深化を特に目標として掲げているが、欧州以外の国・地域も参加することができる。詳細は以下を参照。 https://erasmus-plus.ec.europa.eu/opportunities/accessing-erasmus-opportunities-from-outside-the-eu なお、エラスムス・プラスに採択された全プロジェクトの情報は次のURLから検索できる。https://erasmus-plus.ec.europa.eu/projects
■エラスムス・プラス新プログラムの概要及び予算規模については、当機構の高等教育質保証の海外動向発信サイト掲載の以下の記事からもご覧いただけます。 https://qaupdates.niad.ac.jp/2021/06/18/eu-erasmus2021-2027/ |
リンク |
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_21_1326 |