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  >>HOME  >>出版物等  >>大学評価機関の創設について(報告)
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出版物等

はじめに

 大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」(平成10年10月)により,大学評価のための第三者機関の設置が提言されたことを受け, 平成11年度において,大学評価機関(仮称)の創設準備を行うこととなり,文部大臣裁定「大学評価機関(仮称)の創設準備組織要項」(平成11年4月)に 基づき,創設準備に関する重要事項を審議する機関として,大学評価機関(仮称)創設準備委員会が発足した。 
 本委員会は,専門委員会を設けその専門的検討を踏まえつつ,大学評価機関の在り方について鋭意検討を行ってきたところであり,ここに本報告をとりまとめたものである。


1 大学評価機関の必要性

 21世紀に向け,我が国の大学が人材養成や学術研究等の面で求められる役割を十分に果たし,社会に貢献していくためには,各大学が自らの自律性に基づ き,教育研究の更なる向上を目指して改革を進め,切磋琢磨し発展していくことのできる新しい高等教育システムへの転換が求められている。
 平成10年10月の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」においても示されているように,今後の大学改革は,�@課題探求能力の育 成を目指した教育研究の質の向上,�A教育研究システムの柔構造化による大学の自律性の確保,�B責任ある意思決定と実行を目指した組織運営体制の整備,�C多 元的な評価システムの確立による大学の個性化と教育研究の不断の改善,の四つの基本理念に基づき,それまでの制度を大胆に見直したうえ,推進展開される方 向にある。
 中でも,「多元的な評価システム」は,このような大学改革の取組を実効あるものとするための必要不可欠な存在であり,大学審議会答申の副題にもあるように「競争的環境の中で個性が輝く大学」として,各大学が一層発展していく基盤として,その確立が急がれるところである。
 さらに,平成11年6月の学術審議会答申「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」においても,学術研究の振興にあたっての具 体的施策の中で,研究評価の充実,第三者評価の必要性が示されており,大学等(大学及び大学共同利用機関をいう。以下同じ。)の研究機関の一層の活性化を 促すためには,第三者独自の観点や広い視野からその活動を正確に評価し,他機関との比較も踏まえ,当該機関の改善につなげていくことが求められている。
 評価とこれに基づく,大学等の自らの教育研究の不断の改善は,平成3年の大学設置基準の大綱化とあわせ,自己点検・評価が制度化されて以来,その必要性 が認識されてきた。このような自己点検・評価の充実はもちろんのことであるが,社会の期待に応え,評価をより実効性の高いものとしていくためには,客観的 な立場からの専門的な判断を基礎とした信頼性の高い評価が今まさに必要とされている。
 このため,第三者評価の導入を通じて,評価結果を各大学等にフィードバックすることにより,各大学等の教育研究活動の改善に役立てていくとともに,大学 等の諸活動の状況や成果を多面的に明らかにし,それを社会に分かりやすく示すことにより,公共的な機関として大学等が設置・運営されている点について広く 国民の理解と支持が得られるよう支援・促進していくことは極めて意義のあるところである。
 総合的で多様な機能を有する大学等について,教育活動,研究活動,その他の諸活動のそれぞれにわたり,専門分野ごとに適正な第三者評価を行うためには, 評価に精通した専門スタッフ等を備え,また,各専門分野ごとにピア・レビュー(対象分野の専門家による評価)を基本としながら,教育を受ける学生や卒業生 を雇用している企業などの利用者の視点等も加味した多様な観点からの評価を行うことができる体制を用意する必要がある。
 また,多元的な評価システムを確立するためには,広く社会で行われている大学評価を含めて,多岐にわたる大学評価に関する情報の収集・分析・提供事業 や,大学評価の各種指標の有効性等に関する調査研究事業をあわせて実施する必要があり,そのための専門スタッフを備えることが必要である。
 そこで,各大学等が共同して利用することのできる専門の評価機関の設置が必要となるところである。
 なお,評価機関は,社会と大学等の双方に開かれた組織でなければならず,また,発足後も,評価とそれを通じた各大学等における自己改革の動向を見なが ら,常によりよいシステムを求めていくという姿勢が重要である。その意味で,開放的で進化するシステムとなるよう,組織・運営面において留意すべきであ る。

2 整備の基本的考え方

�@ 平成12年度に,学位授与機構を改組し,大学評価機関としての事業と,従来の学位授与機構の業務をあわせて実施する新機関とする。
新機関の名称は,「大学評価・学位授与機構」とする。

�A 大学評価・学位授与機構は,従来の学位授与機構の業務に加え,次の業務を行う。
ア)大学評価事業
イ)大学評価に関する調査研究事業
ウ)大学評価に関する情報の収集・分析・提供事業

�B 大学評価・学位授与機構は,大学共同利用機関と同様の位置付けとし,大学関係者その他の学識経験者の参画を得て運営を行い,その専門的な判断に基づいて自律的に評価を実施する。


3 大学評価事業

(1) 評価の目的
 各大学等が競争的環境の中で個性が輝く機関として一層発展するよう,
�@ 教育活動,研究活動,社会貢献活動など大学等の行う諸活動について多面的な評価を行い,評価結果を各大学等にフィードバックすることにより,各大学等の教育研究活動の改善に役立てる。
�A 大学等の諸活動の状況や成果を多面的に明らかにし,それを社会に分かりやすく示すことにより,公共的な機関として大学等が設置・運営されている点について,広く国民の理解と支持が得られるよう支援・促進していく。
ことを目的とする。

(2) 評価の対象
 評価の対象は,大学及び大学共同利用機関とする。
 実際に評価を受けるかどうかは,各機関の設置者の判断による。この場合,国立の大学等は,公費で運営されている機関としての社会的責任を果たしていくことが求められていることから,全機関について評価すべきものと考える。
 なお,短期大学の具体的な評価の在り方については,今後検討する。
(3) 評価事業の内容、方法等
 各大学等の教育研究活動の個性化や質的充実に向けた主体的な取組を支援・促進していくためには,各大学・学部等の目的や将来計画などにも考慮しながら, 教育活動,研究活動,地域社会や産業界との連携・交流,社会貢献など,大学等の行う諸活動について,各大学等の個性や特色が十二分に発揮できるよう,国際 的な視点や地域社会における役割も踏まえた複数の評価手法に基づく多面的な評価を行う必要がある。
 そのため,評価事業として,
   �@全学テーマ別評価
   �A分野別教育評価
   �B分野別研究評価
を行うとともに,国立の各大学等から毎年度の教育研究活動の状況等の総括を求め,その調査・分析を行う。
 評価の実施方法(付属資料1参照)としては,大学関係者及び大学外の有識者からなる大学評価委員会及び専門委員会において,事業の実施方針や具体的な実 施要項等を決定した後に,各大学等が実施している自己点検・評価報告書や,大学評価・学位授与機構の示すフォーマットに基づき各大学等が行う自己評価(根 拠となるデータを含む。),大学評価・学位授与機構が独自に調査・収集する資料・データ等に基づき,十分な研修を受けた大学評価委員会の専門委員会の委員 及び評価員による訪問調査またはヒアリングを行う。
 これらの過程における各大学等からの資料等の提出については,電子化やネットワークの利用を推進する。
 さらに,大学評価委員会において審議を行い(その中で専門的事項については専門委員会によるピア・レビュー(対象分野の専門家による評価)を実施),評価対象ごとに記述式の評価結果をとりまとめる。
 評価結果を確定する前に当該大学等に通知し,これに対する意見の申立ての機会を設け,それを踏まえて大学評価委員会において再度審議を行った上で最終的な評価結果を評価報告書としてとりまとめ,意見の申立てとあわせて公表する。
 なお,評価事業を行うにあたっては,透明性の確保に十分留意する必要がある。

 
1 全学テーマ別評価
 全学テーマ別評価は,個別の学部等の課題ではなく,大学等としての全学的な課題に関するテーマとして,毎年度,数テーマを適切に設定し評価を行う。
 テーマの設定にあたっては,教育研究活動のみならず,大学等の目的・機能を総合的に発揮するための全学的な大学運営や,社会貢献活動など,大学等の諸活動の多様な側面について,国際的な視点も踏まえた評価を行うよう留意する。
 なお,具体的なテーマ設定やテーマに即した評価の内容等については,今後検討する。

<テーマ例>
○大学等の目的・機能を総合的に発揮するための全学的な大学運営
 ・自己点検・評価を活用した自己改革
 ・大学運営組織の機能分担及び連携
 ・大学の機能を発揮するための教員人事システム
 ・大学情報の積極的な提供の取組
 ・入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)
 ・学部,大学院(修士,博士)ごとの目的,目標と相互の関連性,位置付け
○教養教育や基礎学力の形成についての全学的な取組
 ・教養教育の工夫・改善状況
 ・基礎学力の形成のための工夫・改善状況
○教育機能の強化のための全学的な取組
 ・シラバスの作成・活用状況
 ・厳格かつ適正な成績評価
 ・学生による授業評価等の活用状況
 ・学生の学習状況
 ・ファカルティ・ディベロップメント
 ・教員の教育活動評価の状況
○学生に対する支援についての全学的な取組
 ・学生の学習環境
 ・経済的支援の推進方策
 ・就職支援方策
 ・学習・生活相談体制
○大学等としての研究活動の推進に関する基本的な考え方とそのための方策  
 ・研究活動の支援方策
 ・共同研究の推進方策
 ・共同利用の推進方策
○社会貢献活動についての全学的な取組
 ・地域社会や産業界との連携・交流の推進
 ・公開講座等大学開放の取組
 ・メディアを通じた意見発表等社会への知的啓発
○産学連携の推進についての全学的な取組
 ・リフレッシュ教育,インターンシップ等の推進
 ・共同研究,受託研究や寄附講座の受入れ等の推進
 ・人事交流の推進
○国際社会への貢献,国際化への対応についての全学的な取組
 ・海外留学,留学生受入れ,研究者交流など国際交流の推進
 ・国際舞台で活躍できる人材養成への取組

2 分野別教育評価
 分野別教育評価は,原則として,学部,研究科を単位として,これに対応した学問分野ごとに評価を行う。
 同一学部・研究科に対する評価は,5年周期を基本とする。
 分野別教育評価は,次に示すような内容について,当該学部,研究科の設定する教育目的・目標に即して実施する。その際,他大学との比較や大学改革で求められている方向性,国際的な視点を考慮する。
 評価の過程では,授業観察や学生または卒業生などへのインタビューあるいはアンケートを行うなど,実際の教育状況を的確に把握できるような方法を工夫・検討する。

�@教育目的・目標
  ○教育目的・目標の明確性,具体性
   (ニーズへの対応,人材養成,学問的方向性,学部と研究科の関係付けなど)
  ○教育目的・目標の適切な公表・周知
�A教育内容・方法
  ○教育課程の編成
   ・目的・目標に沿った体系的な教育課程の編成
   (教養科目,専門基礎科目,専門科目の関係や学生のニーズの反映,学問的動向など)
  ○教育,学習(研究)指導の方法,体制
   ・授業形態,学習(研究)指導方法,学習(研究)指導体制など
  ○成績評価の方法・基準
�B学生に対する支援
  ○学生の学習環境
  ○経済的支援,就職支援,学習・生活相談など
�C教育成果,目標の達成状況
  ○目的・目標に沿った学生確保
  ○学生の到達度
   ・専門の学芸,幅広い教養及び総合的な判断力など
   ・単位修得,進級,卒業,資格取得など
  ○進路(就職,進学)
�D社会貢献及び連携・交流
  ○地域社会との連携・交流
  ○国際交流
�E教育の質の向上,改善のためのシステム
   (目標設定→実施→点検・評価→改善の仕組)
  ○向上,改善のための体制,システムの整備
   ・教育実施状況や問題点の把握システム
   (自己評価,学生評価,外部評価,教員の教育活動評価など)
   ・組織的な教育方法等の研究・研修システム
   (ファカルティ・ディベロップメントなど)
   ・教員人事システム
  ○向上,改善のための体制,システムの効果

3 分野別研究評価
 分野別研究評価は,原則として,学部及び研究科,大学附置研究所,大学共同利用機関を基礎とした単位で,学問分野ごとに評価を行う。
 同一学部及び研究科等に対する評価は,5年周期を基本とする。
 分野別研究評価は,次に示すような内容について,当該学部及び研究科,大学附置研究所,大学共同利用機関の設置目的及び研究目的・目標に即して実施す る。その際,国際的な視点,他大学等との比較,大学改革で求められている方向性を考慮する。なお,実際の評価を行うにあたっては,研究環境や研究者数など その大学等が置かれた条件,独創的研究や萌芽的研究の推進あるいは人材養成への貢献などの特性,研究体制の整備途中あるいは将来計画に向けた転換点にある ため十分な実績が出てくる段階になかったり,学問分野の特性上,成果が出てくるのに時間がかかる分野であるなどの事情を的確に加味する必要がある。
 さらに,個別の研究業績や各種データを踏まえたピア・レビュー(対象分野の専門家による評価)を中心とした評価を行い,学科・専攻レベルでの状況を明らかにしていく。その際,研究の質を重視した評価を行うことが必要である。
 また,大学共同利用機関及び大学附置研究所については,プロジェクト研究などの先端的研究,共同利用,研究開発や研究支援に携わる技術者養成など,各機関の役割,特性を十分踏まえた適切な評価が必要である。
 なお,大学共同利用機関における総合研究大学院大学の大学院教育など人材養成への寄与については,総合研究大学院大学の教育評価の際にあわせて実施するものとする。

�@機関の設置目的及び研究目的・目標
  ○目的・目標の明確性,具体性
  ○目的・目標の適切な公表・周知
�A研究内容・水準
  ○国際的な視点を踏まえた研究水準,独創性,当該研究の今後の発展性,
    他の研究・学問分野への貢献など学問的意義
�B社会・経済・文化への貢献
  ○新技術の創出,特許等の知的財産の形成,新産業基盤の構築,生活基盤の強化,
    文化の諸分野の継承・発展・創造,政策形成への寄与,地球規模の課題の解決等
�C機関の設置目的に照らした達成状況
  ○目的の達成状況
   ・共同利用,共同研究,学術情報の流通,資料公開等教育活動の推進
  ○目的を達成するための運営体制,システム
�D研究の質の向上,改善及び研究活動の活性化のためのシステム
  ○向上,改善及び活性化のための体制,システムの整備
   ・活動状況や問題点の把握システム
    (自己評価,外部評価など)
   ・独創的・萌芽的研究の推進システム
   ・地道な研究活動を奨励するシステム
   ・教員人事システム
  ○向上,改善及び活性化のための体制,システムの効果

4 国立の大学等についての毎年度のレビュー
 国立の大学等について,教育研究活動の状況を社会に説明していく責任を果たす観点から,毎年度の全体的な状況をわかりやすく示す必要がある。
 このため,国立の各大学等の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に沿った毎年度の教育研究活動の状況を国立の各大学等で総括し,これを基に大学評価・学位授与機構が調査・分析を行う。

(4)機関発足当初の評価事業
 機関発足当初,全学テーマ別評価については,平成12年度はテーマを絞って実施するものとし,分野別評価については,平成14年度までは対象分野や対象大学数を絞って段階的に実施することにより,平成15年度からの本格実施に向けて必要な態勢を整えるものとする。
 なお,国立の大学等の毎年度のレビューについては,平成13年度から実施するものとする。

(5)評価結果の記述
 評価結果の記述については,各評価項目ごとの評価の記述と各評価項目を通じた総合的な評価の記述をもって行うものとする。
�@ 各評価項目ごとの評価の記述については,評価を受ける単位の各評価項目ごとの水準を分かりやすく示すような方法をもって行うとともに,優れた取組,改善を要する点,問題点の背景・原因等を明らかにするものとする。
�A 総合的な評価の記述については,各評価項目ごとの評価全体を総括するとともに,各評価項目を通じて,優れている点,改善を要する点等について指摘する方法により行うものとする。
 なお,各評価項目ごとの水準を分かりやすく示すような具体的な記述の方法やその際の基準の在り方については,各大学等の状況等を踏まえつつ,今後更に検討する必要がある。
 また,具体的な記述を行うにあたっては,全学テーマ別評価,分野別教育評価,分野別研究評価のそれぞれの特性や,具体的なテーマや各専門分野の特性にかんがみ適切な配慮を行うものとする。

(6)評価結果の活用
 評価結果については,各大学にフィードバックすることにより,各大学等の教育研究の改善に役立てるという評価の趣旨・目的を踏まえ,各大学等において, 教育研究の改善のための取組を企画したり,大学等の将来計画を策定する際の基礎とすることが基本となる。客観的な立場からの専門的な評価を受けることを契 機とし,各大学等の改革がそれぞれの個性や特色を十二分に発揮しつつ,大きく前進することが期待される。
 また,大学等の諸活動の状況や成果を多面的に明らかにし,社会にわかりやすく示す目的で評価が行われ,評価結果が広く社会に公表されることから,幅広い活用方法が考えられ,例えば,次のような活用が期待される。
�@ 大 学を選択し教育を受ける学生,大学等の研究者を志望する者,卒業生を雇用する企業等,共同研究などの産学連携を行っている企業等,国際交流の相手方となる 海外の大学や研究機関などが,大学評価・学位授与機構の行う評価の結果を参考にし,大学等を選択するうえでの判断材料の一部とすることができる。これによ り,一面的な情報による偏った判断ではなく,各大学等の個性や特性,学部,学科等の状況を正確に理解したうえでの有効な選択が可能となる。
�A 資 源配分機関や,助成団体,大学等への寄付者(企業等)などが,必要と判断した場合は,大学評価・学位授与機構の行う評価の結果を,配分指標あるいは参考資 料の一つとして活用することができる。これにより,より適切かつ効果的な配分や資金提供が可能となる。例えば,各大学等における優れた取組や教育研究活動 の水準向上の努力を正当に評価し,これらに対しより多くの資源配分や資金提供を行うための手段の一つとすることが期待される。


4 調査研究事業

1 調査研究事業の必要性
 多元的な評価システムの下で行われる大学評価を,真に大学等の教育研究の質の向上や個性化につなげていくためには,大学評価のシステムの有効性等に関する調査研究を進め,その研究成果を多元的な評価システム全体の充実に活かしていくことが必要である。
 また,大学評価・学位授与機構が,将来にわたって各大学等から信頼され,支援される機関となるためには,公平で,透明性・柔軟性が高い評価システムを構 築・保持していく必要がある。このため,評価結果を常に厳正に分析し,有効性の高い評価システムを求め調査・研究を行い,研究成果を評価システムの改善・ 熟成に活かしていくことが重要である。

2 調査研究内容
 調査対象としては,
 �@各大学の実施する自己点検・評価の分析調査
 �A外国における大学評価の分析調査
 �B大学基準協会や民間で広く行われている大学評価に関する分析調査など
 が考えられる。
 それらを基に大学評価・学位授与機構が自らが実施した評価事業の結果も踏まえて調査研究を行い,大学評価を効果的に実施するための科学的かつ実証的な裏付けを得る必要がある。

 研究課題としては,  
 �@評価の指標の有効性に関する調査
 �A効率的かつ効果的な評価内容及び評価手法に関する研究
 �B評価結果の使用方法や評価の有する社会的機能に関する研究など
 が上げられる。

3 調査研究成果の公表・提供
 調査研究成果の外部への公表・提供は,各大学等の自己点検・評価や民間で広く行われている評価の効果的な実施に寄与するものであり,特に,各大学等の自己点検・評価の充実を図り,共通的な基準や手法の研究・開発,普及を強力に推進するための資料となることが期待される。


5 情報収集・分析・提供事業

1 情報収集・分析・提供事業の必要性
 大学評価を真に大学の教育研究の質の向上や個性化につなげていくためには,広く社会で行われている大学評価を含め,多岐にわたる評価情報及び大学情報 データ・バンクの構築を目指した様々な情報の収集・分析・提供が必要である。さらに,大学評価・学位授与機構の行う評価事業の成果の提供,広報という観点 からの情報提供も必要である。

2 情報収集・分析・提供事業の内容
�@ 評価情報の収集・分析・提供
 国内外の様々な評価機関の行う評価のシステムや個々の評価結果に関する情報のみならず,評価の基礎となった資料やデータ(各大学,学部,専攻,学科別の データ,個別の項目ごとに整理されたデータ,改革に向けての意欲的な取組の実施例などの具体的改善例等)などの情報を収集・分析する。
 これらの情報を各大学等に情報提供することによって,各大学等の自己評価の内容・方法の充実に資するばかりでなく,大学評価・学位授与機構自身が実施す る評価事業のシステムの改善や調査研究事業に活用できるほか,民間の評価機関などが行う評価の充実にも役立つとともに,多元的な評価システムの全体像に対 する社会の理解を深めたり,大学等の業績等の公表にも役立つと考えられる。
 なお,評価に関する情報の収集・提供にあたっては,他の情報収集・提供機関との連携・協力を図ることも重要である。 

�A 大学情報データ・バンクの構築を指向した情報収集・分析・提供事業
 大学等の個性化を図るため,各大学等の特色を的確にとらえるとともに,各大学等が他大学等の状況を把握し,教育研究の質の改善を考える際の参考とするこ とができるような情報や指標を蓄積した大学情報データ・バンクの構築を指向し,その基盤としての情報収集・提供事業を行うことが考えられる。なお,国際的 な視点にも留意した情報の収集,提供に努めることが望まれる。

�B 評価事業の成果の提供,広報という観点からの情報提供
 大学評価・学位授与機構の行う評価についても,上記1と同様の趣旨から情報提供を行うことにより,広く国民が評価結果を活用することが可能となり,また,評価事業についての理解を得ることが可能となる。
 提供手段としては,評価結果報告書や年次報告書を刊行するとともに,インターネット上にホームページを設けて公表するなど,一般の国民に情報を得やすい環境を整備することが必要である。その際,国際社会に向けての情報発信にも努める必要がある。


6 組織・運営

(1)基本的考え方
 大学評価・学位授与機構は,これまでの学位授与機構の業務と,あらたに加わる大学評価関係の業務をあわせて実施する機関となるため,両方の業務を円滑かつ効果的に実施できる組織であることが求められる。
 これまでの学位授与機構の果たしてきた役割と今後のニーズを踏まえ,学位授与関係の業務の円滑な実施に必要な体制を引き続き維持する必要がある。
 同時に,大学評価関係の事業は,今後の高等教育の発展,学術研究の振興を考えた場合,極めて重要な位置付けを有するので,事業が期待される有効な成果をあげることができるよう,大学評価・学位授与機構は十分な規模を有する万全な組織として整備されることが肝要である。
 具体的には,学位授与関係の業務の実施を担ってきた教員組織や事務組織(審査研究部や審査会等)に加え,大学評価関係の業務の実施を担う教員組織として評価研究部を,事務組織として評価事業部を設置するほか,管理部の拡充を図ることが必要である。
 また,管理運営組織である評議員会や運営委員会の機能を強化するとともに,評価事業の実施のため,大学評価委員会を設けることが必要である。
 さらに,評価機関は,社会と大学等の双方に開かれた組織であり,常によりよいシステムを求めていく姿勢が重要であることから,機関自ら点検・評価を行うとともに,外部者による検証に努め,その不断の改善充実を図っていくことが必要である。

(2)評価研究部
 評価研究部に,評価システム開発部門,教育・研究評価開発部門,評価情報研究開発部門を置き,次のような研究・企画・調整の役割を担う。
�@ 評価システム開発部門
ア) 評 価指標の有効性の確保に関する研究や効果的な評価内容・方法の研究開発,合理的かつ効率的な評価事業の運営についての研究開発などを行う。また,そのため の基礎として,国内外における様々な評価主体が実施している大学評価について調査研究を行う。さらに,研究成果を踏まえた,より有効な評価システムを研 究・企画する。
イ) 全 学的な大学運営や社会貢献活動等について,評価の在り方や評価内容・方法等の研究・企画を行うとともに,全学テーマ別の専門委員会に参画し,テーマに即し た評価内容・方法等の決定,具体的な評価結果のとりまとめについて,専門的立場から調整を行う。さらに,テーマごとの評価マニュアルの考案等を行う。

�A 教育・研究評価開発部門
ア) 各専門分野に応じ,教育評価,研究評価の個々の分野に即した評価システムの在り方について調査研究を行う。さらに,研究成果を踏まえたより有効な分野別の教育・研究評価システムを研究・企画する。
イ) それぞれの分野ごとの専門委員会に参画し,評価内容・方法等の決定,具体的な評価結果のとりまとめについて,専門的立場から調整を行う。さらに,分野ごとの評価マニュアルの考案等を行う。

�B 評価情報研究開発部門
ア) 透 明性・客観性の高い多様な観点からの評価を行っていくために,莫大な情報を電子情報化し,評価事業の円滑な実施や調査研究に資するための情報データベース の設計と開発に関する研究を行うとともに,評価に関する情報や大学情報を外部へ公表・提供するために,広く一般に受入れられやすい提供方法の研究とそのた めのシステムの構築に関する研究を行う。
イ) 研究成果をもとに,情報収集・分析・提供事業を展開する。
 

(3)管理部
 管理部においては,庶務・人事・会計・施設・共済・研究協力等に関する事務,学位授与に関する事務,大学評価関係及び学位関係の情報収集・分析・提供に関する事務を処理する。
 特に,情報収集・分析・提供は,主要事業の一つに位置付けられるため,充実を図る必要がある。

(4)評価事業部
 評価事業部においては,評価事業の企画・立案・実施の各段階において,評価研究部と連携しながら,評価事業に関する事務を処理する。
 同部は,実施計画の策定・具体化にあたっての委員や各大学との調整,評価事業に携わる委員等の研修業務の事務から始まり,評価の基礎資料の収集・整理・ 分析,訪問調査や面接調査への随行,評価チーム内の連絡・調整,評価報告書作成の事務など,あらゆる面において,事務処理が要求されるため,相当数の事務 スタッフが必要となる。

(5)評議員会・運営委員会
�@ 評議員会
 評議員会は,大学の学長その他の学識経験者である評議員により構成し,大学評価・学位授与機構の事業計画その他の管理運営に関する重要事項について,審議し,機構長に助言・勧告を行うものとする。
 特に評価事業については,広く社会に開かれ,また,各大学の信頼を得て実施されることが極めて重要であり,評議員会が,その在り方について,幅広い見地 から審議を行い,機構長へ助言・勧告を行うことにより,評価事業の適正な実施と不断の改善充実が図られることが期待される。
�A 運営委員会
 運営委員会は,大学評価・学位授与機構の教授並びに大学の学長及び教員その他の学識経験者である運営委員により構成し,大学評価・学位授与機構の事業の運営実施に関する事項で機構長が必要と認めるものについて,機構長の諮問に応じるものとする。
 運営委員会においては,大学評価関係の事業と学位授与関係の事業のそれぞれの事業に適切に対応できるよう,委員構成や運営方法を工夫する必要がある。
 評議員会,運営委員会は,機構長の採用など人事面においても重要な役割を果たす機関であるため,大学共同利用機関や学位授与機構の場合と同様に,大学評価・学位授与機構の組織運営規則(文部省令)に基づき,設置するものとする。

(6)大学評価委員会等(付属資料2参照)
�@ 大学評価事業や情報収集・分析・提供事業の実施方針・計画等基本的事項の審議及び具体的な評価結果の審議,とりまとめを行うため,大学評価・学位授与機構に大学評価委員会を設ける。
 大学評価委員会には,評価システムに大学等の特性に応じた観点を取り入れるため,大学関係者が委員として参画するとともに,社会の側からの多角的な観点を取り入れるために,大学外の有識者が委員として参画する。
�A 大学評価委員会にテーマ別・専門分野別等の専門家が委員として参画する専門委員会を設ける。
 専門委員会は,テーマ別,専門分野別の各評価に応じて組織し,各評価の具体的な内容・方法,実施要項等の審議及び各評価結果の審議,とりまとめを行う。
 専門委員会には,必要に応じて分科会を設けるものとする。また,大学等の諸活動にわたる多面的な評価の必要性,専門分野の多様性,さらには,評価対象数が大規模となることから,専門委員会委員に加え相当規模の専門家を「評価員」として活用する必要がある。
�B 大学評価委員会の委員は,運営委員会で候補者を選出し,評議員会の意見を聴いて機構長が任命する。
 専門委員会の委員及び評価員は,大学団体,学界,経済界等から広く推薦を求め,大学評価委員会で候補者を選出し,運営委員会の意見を聴いて機構長が任命する。
 大学評価委員会,専門委員会の委員の選考にあたっては,地域性,国際性,性差について十分考慮する必要がある。
 なお,評価事業の透明性を確保する観点からも,委員の氏名は公表することが適当である。

おわりに

 大学評価機関(仮称)創設準備委員会においては,大学審議会の提言する第三者評価機関の設置が,大学改革を推進するための緊急の課題であるという認識の下に審議を行い,昨年9月に,中間報告として整理し,公表した。
 その後も引き続き,創設準備に関する審議を行い,最終的に,8回の創設準備委員会,14回の専門委員会を開催し,その検討結果を本報告としてとりまとめた。
 大学評価・学位授与機構の創設並びに運営にあたり,本報告に盛られた趣旨が適切に反映されることを期待するものである。
 最後に,大学評価機関(仮称)の創設準備に関し,種々の貴重な意見を寄せられた関係諸機関及び関係各位に対し,感謝の意を表したい。
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