バランススコアカード( BSC )に関する研修(京都に所在する大学を事例として)
日  時  2008.1.27 10:30 - 16:30
場  所  独立行政法人 大学評価・授与機構 特別会議室(701号室)
出席者   講師(発表・ファシリテーション) :高橋淑郎氏、梅井崇仁氏
  参加者 :西出順郎氏、福留東土氏、片山英治氏、殿村成信氏、山崎その氏、田中弥生、林隆之
  記録 :立川博巳氏

ワークショップ概要
  ・BSC に関する解説(高橋淑郎氏)
      (SWOT分析クロス分析ミッション・ビジョンの再構築戦略マップの策定スコアーカードの策定
  ・事例の説明(発表者:山崎その氏)
  ・参加者による作業(SWOT分析、クロス分析)


SWOT分析 (発表者: 高橋淑郎氏)
解説内容
(ポイント抜粋)
 SWOT分析は、 6-7 人で実施するのが適当。
 機会、脅威とは、 外部に存在し組織ではコントロールできないもの。
 組織外部のステークホルダーとの関連がないため、現場で下にさがれば下がるほど現場の弱みという視点が出ない。
 親和図法:テーマに関して思いつくことを書き留める(見やすく、大きく太い字で)<分類(島)< 大枠タイトル(表札)
 体言止めの記述は避ける。具体的に記述する。 5色のポストイットを使用(SWOT& 表札)
 まとめ方のレベル:実際に実施する中で、まとめるレベル(表札)が収斂する。まずはランダムに書き出す。
 トップが BSCを理解、継続的支援及び成果への納得をすることが BSC成功の前提。
 SWOT分析は、有形・無形の考えを洗い出すフェーズ。ここで出てきたあらゆる要素を戦略マップの要素(財務、顧客、プロセス、学習)に分類する。 SWOT は、今後のステップの重要な要素となるので、時間をかけて実施する必要がある。
 SWOT分析では、分析参加者が組織内の人間に限定されると、視点が狭くなるリスクがある。
 SWOT分析の表では、先に「状況(カテゴリー)」を特定し、脅威と機会を捉える方法もある。
参加者による
作業結果
強み( S ):
  1.ネイティブによる語学指導
  2.入学時のカリキュラムの多様性
  3.決め細やかな指導
  4.大学の個性・特色の分かりやすさ
  5.立地条件
  6.入学時の学生の意欲
  7.卒業 OB/OG 職員のロイヤルティ
  8.ガバナンス
  9.教員 - 職員のコミュニケーション
  10.特色ある言語を活かした就職
  11.立地上、他大学との連携が容易(単位互換共同プログラム)
  12.子供向け講座の実施
  13.入試を全国に展開
  14.職員が卒業生のため外国語能力が高い
  15.単科大学のため意思決定が容易
弱み( W ):
  1.留学生数が少ない
  2.施設が狭く、古い。
  3.教員負担の重さ
  4.出口戦略の曖昧さ
  5.教員の年齢構成高い
  6.財政負担が大きい
  7.高い人件費
  8.カリキュラムの編成
  9.財政負担の多さ
  10.事務組織のマネジメントの不十分
  11.就職希望者の少なさ
  12.教員・学科間のコミュニケーション
  13.V/M/G が不明確
  14.授業料が高い
  15.志望者数が減少している
  16.進学地域の偏り
  17.組織風土の硬直化
  18.広報戦略の弱さ
  19.人口戦略の曖昧さ
  20.進学ルートの妥当性
機会( O )
  1.学習機会の多様化
  2.立地条件の良さ、アクセスの拡大
  3.京都のブランド
  4.グローバル化に伴う語学・文化教育でのニーズの高まり
  5.留学機会に近い
  6.競争的公的補助金の多様化 / 増加
  7.他大学との連携が活発
脅威( T )
  1.競合他大学の躍進
  2.京都の閉鎖性
  3.補助金カット
  4.進学率の高止まり
  5.18歳人口減少の少子化
  6.国際環境への対応がしきれていない
  7.語学教育への社会的需要の減少

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SWOT分析からクロス分析へ (発表者: 高橋淑郎氏)
解説内容  SWOT 分析は、過去及び現在を中心に考えている。クロス分析は、近い将来について考える。
 ・S x O:取り組める機会の創出(積極的攻勢)
 ・S x T:脅威を回避または事業機会の創出
 ・W x O:弱みを克服・転換
 ・W x T:撤退、リスク管理(改善または撤退)
 自分の組織にとって最も大事なことをピックアップする。ピックアップ後、財務、顧客、プロセス、学習の中の一つの要素として戦略マップを作成する。
 (その他詳細は、「戦略マップの策定」を参照
 クロス分析では SWOT それぞれの項目を照らし合わせランダムに組み合わせる。
 クロス分析を元にクロス分析の項目の目的を再認識(「何のために?」を確認)することで、ミッション・ビジョンにつながる。
参加者による
作業結果
クロス分析結果(括弧内は上記 SWOT 分析のクロスされた分析項目該当番号)
・S x O
  >>京都ブランドをいかし、グローバル社会に対応する新プログラムの構築(O-3,O-7,S-11)→補助金の使用(O-6)
・S x T
  >>人口増加率の高いところで、集中的に募集(T-5,S-13)
  >>アジア富裕層に対する募集(T-5,S-4)
  >>通訳などの資格取得の特別指導(S-3,T-1)
・W x T
  >>新施設(シンボル)を作る(←大学の特長を打ち出す)(W-3,W-1)
  >>内部統制をしっかりさせる(W-1,T-8)
・W x O
  >>財政負担の軽減(W-6,O-7,W-14,W-9)
  >>京都ブランドを活用して志願者を増やす(W-15,O-3)
  >>ニーズを踏まえた出口戦略の構築(就職→スキル→カリキュラム)(O-6,W-4,W-18,W-13,W-19)
  >>他大学の施設を利用する(W-2,O-7)
  >>学科間のコラボレーションで競争資金を取る(W-12,O-6)
  >>競争的資金を人事考課に反映する(O-6,W-5)

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ミッション・ビジョンの再構築 (発表者: 高橋淑郎氏)
解説内容  SWOT 、クロス分析、ミッション・ビジョンとの整合性を取る。
 ビジョンの定義: 3-5 年の範囲でこうありたいという定量(数字だけが一人歩きするリスクに注意)・定性的な内容とする。

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戦略マップの策定 (発表者: 高橋淑郎氏)
解説内容  戦略テーマ 各視点でビジョンの実現のために何が必要かを検討することで戦略目標を定める。クロス分析結果を視点で分ける
 戦略目標間の因果連鎖を確認する(因果連鎖は厳密ではなく成功ストーリーの構築というイメージ)。
 戦略テーマの策定:戦略をいくつかの焦点(すべてではない)をあてるべきテーマに分解して考える。
 新サービスによる革新(長期)、顧客価値の向上(中期)、卓越した業務の達成(短期)、良き企業市民となる(病院の場合は、当該病院の本質的諸活動:医官をつくる、良医をつくる) →  マイルストンという認識。
 財務の視点:収益拡大と生産性向上、顧客の視点:どのような顧客にどのような価値提案をするのか、業務プロセス:顧客の天下で提案したことを達成するために秀でるプロセス、学習と成長:戦略実現に向けた土台。 Readiness の視点を入れる。
 戦略マップのデザインには基本型、 Non-profit 型(中級)及び Not-for-profit 型(中級)がある。
 成功ストーリーをベースにした結果の形態を構築することが戦略マップの基盤である。

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スコアカードの作成 (発表者: 高橋淑郎氏)
解説内容  戦略マップ(戦略目標、成果尺度、目標値、アクションプラン)から スコアカードへの転記(正確に転記する)を実施する。

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事例の説明 (発表者: 山崎その氏)
発表内容  事例説明の実施

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